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2009年 11月 17日

オルサラ村に帰る4  オーブンのまえでポンと投げるもの

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「大変な仕事を楽しくやる100の方法」 

なんていう本の企画が持ち上がったのなら、
オルサラ村のパン屋さんにお願いするといいと思う。

あるいは、ただ単に、
オルサラ村のパン屋さんの工房を、ふらりとのぞいても。

朝いちばん早くたって、
オーブンの前は、いつも暑くたって、
焼きあがり途中の、パンをかき回す作業は、なかなか重労働だって、

なぜかみんな冗談いって笑ってる。

だからみんながつまみにくる、

そんなオルサラ村のパン屋さんへ







空気はかわらない

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2年前にオルサラ村のパン屋さんにパン作りを見せてもらいにきたときも、
何日か、工房にいて、

「ほんとにこの人たち、くったくがないな」 という表現がぴったりの人たちだった。

そして、そのあとの尊敬の念。

大変な仕事を まゆをつりあげて大変そうにやるのは、誰でもできるけれど、
大変な仕事を、軽口いいながら、こなしていくというのは、
私が、もっとも尊敬するタイプの人たちなのだ。

もっとも、

ここの人たちは、そんなことは、これっぽっちも、考えていず、
ただ日常の仕事を、ごく自然にやっているだけだろうけれど。


そして、今日も、まあるい輪っかのプーリアのパン、タラッリと、
外の皮は、これでもか!というくらいカリカリにしっかりと焼く、
あのずっしりと重たい丸い大きなオルサラのパンが、

次々と焼かれ、
次々と、オルサラの人たちの胃袋へ吸い込まれていく。


焼きあがったタラッリは、
お店においてある、椅子の上に木の箱ごとおかれて、
入り口から入ってくる、わずかな涼しい空気で、冷ますのだけれど、

買い物に来る人、来る人、買い終わって帰るときに、
必ずその箱から、ひとつつまんでいく。

まるで、そこに、「試食コーナー・お気軽にどうぞ」 と
張り紙でもしてあるかのように。

「みんな食べていいか、聞きもしないで、つまんでいくわ!
日本じゃ考えられない。」

私自身、もらったクミン入りのタラッリをぱふぱふ食べながら 
みんなに叫ぶと、

「日本じゃ、盗んだ人の手を切るの?」  とここのご主人、ヴィンチェンツオの奥さんのアンナ。

「??・・・・うーん、昔はそうだったかも・・・」  予期しない質問に、あやふやに答えていると、

「それじゃ、オルサラの人たちは、みんな手きられちゃうじゃない?」
「ワーッハッハ !」 とみんな。



基本的に、店番という係りがいないので、
若手のフェデーレくんは、大きなオーブンの前で力仕事をしながらも、
お店にお客さんが買いにくると、のんびりと店に出て行く。

それがなぜか毎回フェデーレくんなので、

「彼が、店もオーブンも、両方見る当番なの?」と素朴な質問をすると、

「彼は、独身だから、
こうして、店にだしてやって、出会いの機会をつくってやっているのよ!」
(オルサラ風 婚カツか? もちろん冗談)
「ワーッハッハハ!」


いつもいつもこんな調子。
なんでもない会話を軽い冗談でくるりと包んで、
働く他のみんなに、ぽんと投げる。

笑って返して、また投げる。

しゃべって、作って、笑って。
作って、また作る。

そして、笑う。


そんなふうに、パンができてもいいと・・・。

そんなパンを毎日胃袋にいれられるのが、
オルサラの人たちの小さな特権。

そして、

そんな特権にあやかれるのは、
小さいけれど、毎日の確かな幸運なのだ。

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もっともっと、オルサラ村のパンは

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by andosachi | 2009-11-17 10:53


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