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2007年 10月 18日

ジュリアとの出会い

ジュリアとの出会い_d0131616_4491442.jpg

               ジュリアの手織りの機織のお店
               なにげなくのぞいたこのお店で・・


縦糸と、横糸と・・・ひとおり、ひとおり、機織の音が響くお店

「さわってみてくださいな、カシミア100%なんですよ」

ソバーナにひっそりとたたずむ手織りのお店。
カタン、カタンと、織るのをやめて、ほっそりとした品の良い50代の女性が、
手織りのカシミア100%のボルドー色のショールを触らせてくれました。

それが、ジュリアとの出会い。

はじめ、ちょっと入りづらかったけれど、素敵なものが中にありそうで、
昼休み、立ち寄ってみると、小さい店内には、大小2つのはた織り機。


「私も、いつかはた織りやってみたいんです。今、姉がやっているんですよ。」
・・そんな会話からはじまって、初めてなのに、違和感なく、
昔からの知り合いのように、しっくり話せる。

もともとは、ミラネーゼの彼女。
トスカーナに移住して、もう20年。

10年ほど、趣味ではた織りをやっていて、その後、この家をお店用に買い、
夏は、ここで、はた織りをしながら、作品を売り、冬は、自宅で、作品を作ることに集中します。

はた織りの原理を知りたくて、質問攻めの私に、ひとつひとつ、
ていねいに答えてくれるジュリア。

楽譜そっくりの、使い込んだ、古いはた織りの教本。
そこには、昔からのたくさんの模様が、織りこまれていました。

「はじめにデザインを考えて織るんですか?」
「織りながら考えるのよ。」 の答えに、素人の私は、信じられない思い。

「もう長くやっているから、頭の中に入っているのよ」 
私の驚きに、ちょっとはにかんで答えるジュリア。


翌日も、昼休みになると、遊びにいって、
はた織り機に、1本1本糸をかけるのを手伝い、少しずつ、はた織りの原理が
わかってきます。

こんなに根気のいることだったなんて。

”縦糸と、横糸をつむぐように” という比喩は、時々、使われるけれど、
本当に、布というのは、”縦糸と横糸を、1本ずつ紡いだ” ものだったんだ・・・。


「お客さんの中には、
”一日中、すわって、こんな作業してて、飽きないんですか?”
って聞いてくる人もいるけれど、とんでもない。こうして、織っているときが、幸せなのよ。」

「それに、自分のテンポで、織れる。自分時間で、生きられますよね。」 と私。

「そう、そして、何より、作品が、出来上がった喜びがあるの。」 とにっこり。


ジュリアと会ったとき、話してて、どうしてこんなに落ち着くのかなと、思いました。
それは、彼女が、自分のやっていることに、心のそこで、ちゃんと満足しているから。

混乱していた、私のソバーナ滞在は、ジュリアとの出会いから、
少しづつ、落ち着くものになりました。

by andosachi | 2007-10-18 05:02 | トスカーナの生活


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