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2007年 10月 22日

イタリア現代マンマの教育観

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          迷路のように続くソラーナの街、空き家も目立ち、
               旅するは、楽し、でも住むのは・・・


田舎の暮らし、都会の暮らし

「チャオ!元気?」 ジュリアが、声をかけます。
「サチコ、こちら、リタマルコ
この近くでアグリツーリズモをやっているのよ。マルコは、シェフなのよ」

山歩きを終えて、たどり着いたソラーナの町のバールで、
出会ったジュリアの知り合いの30代の夫婦。
4歳の女の子と、1歳ちょっとの男の子が、ママとパパのまわりをちょろちょろ。

私とジェラルドは、生ハム入りのパニーニをほおばりながら、
ジュリアは、あつあつの豆のスープをすすりながら、
ちょっと遅めのお昼ご飯。

ひとときも、じっとしていない1歳の、
金髪の天使のような男のこをあやしながら、
リタが、話し始めます。

「実は、私たち、もうすぐ、アグリツーリズモ、やめるの。
ここを全部引き払って、パドヴァ(ヴェネチア近くの町)に引っ越すのよ」


「いったどうして!?」
目を丸くするジュリア。




リタは、堰を切ったように、話しはじめます。

「もう田舎の暮らしは、うんざりなのよ。
12年間、ここでやってきたけど、この町は、死んでるわ。
何の刺激もない。 両親や、親戚のいる、パドヴァに帰りたいの。

ここには、何にもない。
子供の将来のことを考えたら、こんなところに住めないわ。

子供には、英語や、ダンスや、音楽も習わせたい。
でも、ここには、劇場もないし。
とにかく、なんの刺激もないのよ。

こんなところで育った子どもと、都会で育った子供じゃ
大きな差が開いちゃうわ。
私は、それを心配してるのよ。

いとこに聞いたけど、
ヴェネチアの小学校じゃ、学校でいろいろ教えてくれるんですって。
ここの学校は、ぜんぜんだめ。

子供が学校で過ごす時間は、ものすごく多いのに、
こことヴェネチアじゃ、すごく差があるのよ。

とにかく・・・・もうここは、うんざりなの。」


だんなさんのマルコも、続けます。

「いろいろな料理をためしてみたいんだよ。
魚の料理だって、やりたいし。

でも、ここじゃ、伝統的な料理ばっかりで、閉鎖的だ。」


ジュリアもそこはイタリア人。自分の意見は、しっかりいうので、
リタとジュリアが、2人で、同時にしゃべっていることも;)
慣れたとはいえ、日本人には、やっぱり”けんか”にみえる。
(でも、ただ、話しているだけです)


大切なもの・・それは

イタリア現代マンマの教育観_d0131616_1429083.jpg

昼休みで、しーんと静まり返ったソラーナの町。
このごろは、空きやを改造して、外国人が、夏のバカンス用の家にしています。


リタとマルコ夫婦に別れを告げ、
違うバールでカフェを飲みながら、ジュリアと。

「彼らの気持ちもわかります。ここは、とっても不便だし。
確かに、ずっと住むのは、大変かも・・。

でも、私が親だったら、子供に教えてあげたい一番大事なことは
自然のすばらしさや、敬虔さ、驚き、変化・・・。

レイチェル・カーソンが言った、”センス・オブ・ワンダー”のような・・
このすばらしさを経験している子供は、大人になって、
苦しいことがあっても、その根っこがあれば、きっと自分で解決を見つけられる。

私は、この意見に同感なんです。
そして、ここには、そんな自然がこんなにたくさんある。」 と私。


ジュリアも同感。

「でもね、私も、彼らの気持ちもわかる。親戚は、みなパドヴァだし、
マルコは、まだ若いシェフだから、もっと、勉強したいと思うのは、当然だけれど。
でもね・・」

2人して、「うーん・・・・」

「小さいころに、ピアノを習わせてもらって、それは、今でも親にすごく感謝しています。
でも、私は、学校には、そんなに多大な期待は、しないかなあ。
刺激は、もちろん大事だけれど、人って、本当にやりたければ、
なんとしても自分でやるもんだから。

情報がたくさん入る生活は、刺激的だけれど、
大人でさえ、マスコミに踊らされているのか、本当に欲しいものなのか、
わからなくなっちゃうのに、子供はなおさら・・。」

多分世界で一番刺激的な(?)東京から来た意見。

「でも、確かに、この町は、若い夫婦には、あまりにも変化がないかもなあ・・・」
・・・と、どっちともつかない私の意見 ;)

それでも、何にもなくって、何でもある。
そんなトスカーナの田舎の暮らし。

人の生き方は、本当にそれぞれで、
何かが気に入って、そうしているはず。

その根っこを決めるのは、なんなんだろう?
どこで、それぞれ、”折り合い”をつけるんだろう?

イタリアのつよーーい現代マンマの話を聞きながら、
死んだように” 静かなソラーナでのお昼ごはんでした。

by andosachi | 2007-10-22 15:36 | トスカーナの生活


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