2008年 06月 18日
映画、イル・ポスティーノの島が見たいな。 友人たちと夕ごはんを食べ終わって、何気なくいったひとことに、 みんな驚くほど食らいつく。 「いついこうか?」 そしてエオリオ諸島へ ノバラ村を通ってミラッツオへ エオリオ諸島というのは、 シチリア島の北東にあって、主に、ボルカーノ島、リパリ島、サリーナ島からなっています。 映画、イル・ポスティーノの舞台になったのは、 このうちのサリーナ島。 これらの島にいくには、ミラッツオという港に行き、そこから船で。 ミラッツオまでは、高速道路でもいけるけれど、 のんびり山道を通っていくことにしました。 あふれるジネストラ(エニシダ)の花の後ろには、抜けるような夏の空。 車のエンジンを止めると、耳のわきでしーんという山の持つ静けさがあたりをつつみ、 山の木の間をわたる風の音が、 街とは違う空間にきたことを教えてくれます。 途中、牛の大群に出会い、車のクラクションでは、びくともしない。 すると、いきなり、後部座席に座っていた、アントニオの彼女、イニャツアが、 「ショーッ!ショーッ!!(行けー、行けー)」 とおなかの底から叫びだす。 そのど迫力に、牛より、車の中の私たちが、度肝を抜く。 普段は、のんびりの彼女に そんな才能があったとは。 牛たちも、彼女の声には、のんびりながらもしぶしぶ(?)従い、そして 山の中のノバラ村に到着 ちょっとおなかがすいたので、おやつに揚げ菓子を。 リッコッタチーズがたっぷりはいって 外側の皮の部分が、さくっとやわらか、とてもおいしい。 このバールの主人は、 日本のマクドナルドの研修をうけたのでは?と思わせるほど、 シチリアでは、ついぞみかけたことのない、 0円スマイルあふれる、ていねいな接客で、 私たちの目を丸くさせました。 しばらく、ノバラ村の思い出話をするときは、 「やたら愛想のいいバールの主人がいた村」という長い前置きがついたほど。 村には女の子の像が。 この像には、物語があります。 1900年ごろ、村の木こりが、狭い崖に落ちてしまいました。 「誰か助けに行かなくては。小さくて軽い人じゃないと、穴に入っていけない」 すると、 「私がいくわ」 勇気ある一人の女の子が、綱を自分の体に巻き、 木こりを助けに、穴に下りていったのです。 勇気あるこの子のおかげで、木こりも命拾いをして、めでたしめでたし。 その勇気をたたえて建てた・・・・・・という説と、 昔のつらい児童労働を忘れないようにするために建てた、という別の説も。 でも、私はアルプスの少女ハイジのあの甲高い声で、 「私が助けにいくわ!」 というけなげな声をこの像から、聞いたような気が? そんなノバラ村を通り過ぎ・・・ ミラッツオ到着 12時ごろ、のんびりミラッツオの港につくと・・・・ 船の切符売り場は、おすなおすなの大混雑。 なんと5時の船まで全部売り切れ。 この日から、イタリアは、3連休だったのにもかかわらず、 船の時刻表は、まだ冬のまま。暦をみて、対応するという臨機応変さは、ないらしい。 ともかく、「お昼ごはんにしよう」 家から持ってきたパンで パニーニをつくってお昼でも、食べようと、 アイスボックスをあけると・・・・・ パニーニの中身の大事な生ハムを、全部冷蔵庫に忘れてきた!! 「最後にクーラーボックスを閉める人が確認しなくちゃ」 「机の上にあったものを全部いれただけ」 相棒と、虚しい口論をしていると、友達のアントニオが、 「いいよ、いいよ、また買いにいけば」と助け船。 出発まで、なにしろ時間はたっぷりあるんだし。 炎天下のなか、また生ハムを買って、パニーニをつくり、 5時間船をまって、のんびりすぎる(?)旅のはじまり。 リパリ島へ ミラッツオから、リパリ島までは、早い船で、1時間半ほど。 リパリ島が 見えてきて 明るい夏の夕方、港に到着。 いつもみんなが泊まるというB&Bのマリアさんが 港まで迎えにきてくれて、久々の再会。 部屋にキッチンがあったので、 スーパーで買い物して、みんなで夕飯の準備。 キッチンに、調味料がなかったので、缶詰のソースを買って温めて、 パスタをゆでて、買ってきた前菜を並べて、ビールとワインで、乾杯。 翌朝、マリアさんに、 「確か、料理の勉強してたのよね。 昨日は、どんなご馳走をつくったのかしら?」 サリーナ島へ 翌日、リパリ島から、小1時間ほどのサリーナ島への船を待つ。 4人でじりじり照りつける太陽の下、船を ぼーっと待っていたけれど、全然こない。 「サリーナ島への船は、ここから出るんだよね?」そばにいたおじさんに聞くと、 「違うよ、あっちの港だよ」 見ると、向こう側に、もう船が到着。 「走れー」と、大の大人が、ばたばたと。 すぐに、 サリーナ島が見えてきて はじめてのサリーナ島へ 到着。 港のそばのサリーナ島の教会。 さっそくレンタルバイクを借りて、島をまわろう!とわくわくして、 店にいくと・・・・・ なんと、全部出払って、1台も残っていない! 全部って、何台あるのか・・・。 バスはあるものの、乗ったはいいけれど、船の時間までに、 帰ってこれるか、とんと見当がつかず。 バイクなしでは、イル・ポスティーノどころか、どこにもいけず、 ものすごーーーくがっかりして、あぜんとする私。 そんな私の様子を見てか、アントニオが、他のバイクやを一生懸命探してくれたけれど、 見つからず。 イニャツアは、すぐに 「仕方ないわよ~」 あっさりと。 いつまでも、しょぼーんとしているのも時間がもったいないし、 だんだん私も気を取り直して、 「いつか、生きてればまたこれるかもなあ」 寛容な気持ちになり、 みんなで歩いて、サリーナ島散策。 リパリ島より、ぐっと静かで のんびりのサリーナ島。 花いっぱいの家や、 夏の家、 不思議な空間もあって、 歩くのも楽しいかも。 サリーナ島は、ケーパーの産地として、知られていて、 島のあちこちに、ケーパーが。 雨が少なく、いつも風がふいているこの島は、 ケーパーにとって、好条件。 のんびりして、ふと気がつくと そろそろリパリ島に帰る船の時間。 かなり未練の残るサリーナ島。 大教訓は、 「サリーナ島にいくときは、リパリ島から、バイクをレンタルして船に乗っけていくこと」 でも、もっと素敵なのは、ここで、1週間ぐらい家をかりて、 のんびりすごすのがいいのかもしれません。 リパリ島の明るい夕方 夏時間のイタリア。 リパリ島に帰っても、まだまだ明るかったので、 今度は、リパリ島をぶらぶら歩くことにしました。 小高い丘から、 リパリ島を眺めます。 教会のあるこの付近は、 リパリ島の中でも、とても好きなところ。 リパリ島の猫。 でも、目の病気かな? 泣かないで。 ここはお墓の近くの公園で 行きかう船が見渡せます。 が、しかし、その船からでている、いかにも環境破壊の黒煙を見ると、 心が痛みます。私も、これに乗ってやってきたんだけれど;) 小さいリパリ島には、ごみをすてる場所がないので、 私たちが出したごみは、なんとシチリア本土まで 船で運びます。 海に囲まれているとはいえ、普通の飲み水もないので、 これまた、本土から、運んでいるのです。 海の方から、わーっとという歓声があがり、 小船のレースが繰り広げられていました。 明るい夏のりパリ島の一場面。 ときおり起こる歓声と、海の穏やかな青さが心地よい時間。 夜は、ピザを買ってきて、 宿の屋上で、リパリの夜空を眺めながら、冷えたビール。 今までの人生、一人で旅することが、多かったのだけれど、 気のおけない友達と、計画のほとんどない旅も、 驚くほど、居心地がいいものだな、と思う。 リパリの夜のいかにも、楽しげな風のせいもあるのだろうけれど。 リパリ島バイク一周の旅 翌日は、リパリ島をバイクで1周することに。 船着場の近くのレンタルバイクの値段の高さに、憤慨し、 島の中のレンタルバイクやさんをあたると、時間貸しで良心的。 重たいヘルメットをかぶり、頭をちょっとぐらぐらさせて 後ろに乗って、さあ、出発だー! ・・・・・・と山に向かって走り出してすぐに、 ガソリンがまったく入っていないことに相棒が気がつく。 レンタルものって、出発時に、満タン、あるいは、少しは入っているものじゃないの? 仕方なく、また島の中心のガソリンスタンドまで引き返し、 ガソリンをいれるも、その間に、友人のアントニオとイニャツアとはぐれ、 携帯もつながらず、ま、いっかと再出発ー。 が、しばらくすると、向こうから、 アントニオとイニャツアがにこにことやってきて ここで、再会。 子供のように無邪気に再会を喜ぶ私。 何度か夏をここですごしたアントニオが教えてくれた ストラーダ・ディ・ローマ(ローマの道)は なぜか、懐かしい道。 そして人物まで、古きよき時代にタイムスリップ。 みんなで、”アンニ・セッサンタ (1960年代)”と名づけた写真。 ギリシャ風の教会もあって この日は、結婚式。 海の向こうからは、サリーナ島も 深く静かな蒼い自分自身を、 同じ色の海に浮かべて お祝いしてくれているかのようでした。 空気が止まったかのような、照りつける太陽がまぶしい白い空間。 月面着陸のまねをする人もいて;) とにかくリパリ島の海は、穏やかで。 でも、そろそろ時間だし、島の中心に戻らないと。 バイクやさんに戻ると、なぜかお昼休みで閉まっていたものの、 そばにいた、友達らしき人に、無理やり返し(?) リパリ島バイク1周の旅は、おしまい。 お昼ごはんを食べようと、島のレストランに行くと、 バイクやのお兄さんが、ちょうど食べ終わるところ。 「バイクは、返しといたからね」 ケイパー入りのパスタは、シンプルでおいしい。 みんなでムール貝も頼んで、 冷えた白ワイン。 宿のマリアさんのところに、荷物を取りにいって、「またいつか」 船の切符を管理していた(?)アントニオに従って、4時出発の船に乗るよう 港にいくと、「あ、よく見たら5時だった」 またまた、みんなでのんびり待って、 がやがやと、やってきた船に乗り込みます。 船の上からの リパリ島の風景。 そして、出発。 甲板にでて、 波がつくるレースのふちをみながら、 自然の中にいられるだけで、幸せだ、と心から思う。 そして、子供のようにわくわくして、無邪気に笑ってすごす。 そんな時間を共有できる人たちとの旅は、何倍も楽しくなる。 そんなエオリオ諸島の旅でした。 忘れちゃいけないのは、ただひとつ。 サリーナ島へは、リパリ島からバイクを借りていくこと!
by andosachi
| 2008-06-18 03:52
| シチリアの小さな旅
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