2007年 10月 18日
ジュリアの手織りの機織のお店 なにげなくのぞいたこのお店で・・ 縦糸と、横糸と・・・ひとおり、ひとおり、機織の音が響くお店 「さわってみてくださいな、カシミア100%なんですよ」 ソバーナにひっそりとたたずむ手織りのお店。 カタン、カタンと、織るのをやめて、ほっそりとした品の良い50代の女性が、 手織りのカシミア100%のボルドー色のショールを触らせてくれました。 それが、ジュリアとの出会い。 はじめ、ちょっと入りづらかったけれど、素敵なものが中にありそうで、 昼休み、立ち寄ってみると、小さい店内には、大小2つのはた織り機。 「私も、いつかはた織りやってみたいんです。今、姉がやっているんですよ。」 ・・そんな会話からはじまって、初めてなのに、違和感なく、 昔からの知り合いのように、しっくり話せる。 もともとは、ミラネーゼの彼女。 トスカーナに移住して、もう20年。 10年ほど、趣味ではた織りをやっていて、その後、この家をお店用に買い、 夏は、ここで、はた織りをしながら、作品を売り、冬は、自宅で、作品を作ることに集中します。 はた織りの原理を知りたくて、質問攻めの私に、ひとつひとつ、 ていねいに答えてくれるジュリア。 楽譜そっくりの、使い込んだ、古いはた織りの教本。 そこには、昔からのたくさんの模様が、織りこまれていました。 「はじめにデザインを考えて織るんですか?」 「織りながら考えるのよ。」 の答えに、素人の私は、信じられない思い。 「もう長くやっているから、頭の中に入っているのよ」 私の驚きに、ちょっとはにかんで答えるジュリア。 翌日も、昼休みになると、遊びにいって、 はた織り機に、1本1本糸をかけるのを手伝い、少しずつ、はた織りの原理が わかってきます。 こんなに根気のいることだったなんて。 ”縦糸と、横糸をつむぐように” という比喩は、時々、使われるけれど、 本当に、布というのは、”縦糸と横糸を、1本ずつ紡いだ” ものだったんだ・・・。 「お客さんの中には、 ”一日中、すわって、こんな作業してて、飽きないんですか?” って聞いてくる人もいるけれど、とんでもない。こうして、織っているときが、幸せなのよ。」 「それに、自分のテンポで、織れる。自分時間で、生きられますよね。」 と私。 「そう、そして、何より、作品が、出来上がった喜びがあるの。」 とにっこり。 ジュリアと会ったとき、話してて、どうしてこんなに落ち着くのかなと、思いました。 それは、彼女が、自分のやっていることに、心のそこで、ちゃんと満足しているから。 混乱していた、私のソバーナ滞在は、ジュリアとの出会いから、 少しづつ、落ち着くものになりました。
by andosachi
| 2007-10-18 05:02
| トスカーナの生活
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